【銭湯の原価】厳しい経営だが客が来なくてもつぶれない不思議な業界
街にいくつかはまだ銭湯が残っているでしょう。
最近では、どの家にも風呂があり、わざわざ銭湯を利用する人がどれほどいるのか?
増税や光熱費高騰など銭湯は今日にもつぶれてしまいそうです。
ところが、つぶれない。
銭湯の裏事情をお知らせします。
銭湯の現状
銭湯は、1965年頃に、全国で約2万2,000軒ありました。
その後、2013年時点では、全国で約5,200軒まで減っています。
当たり前に家に風呂がありますから、わざわざ銭湯に行かなくなりましたしね。
東京を例に挙げると、この約50年間で約2,600軒→約800軒(31%)となっています。
銭湯は、「公衆浴場法」という法律により、都道府県によって上限が決まっています。
一例をあげると以下のようになっています。
札幌(北海道):440円
仙台(宮城県):400円
東京都:460円
名古屋(愛知県):420円
大阪府:440円
福岡県:440円
銭湯は、1日平均80人~90人くらいお客さんがいないと経営が成り立たないと言うことです。
1人450として、90人で1日4万円。
月で120万円の売り上げです。
年商で1,400万円です。
個人でやるビジネスとしては十分な売り上げのように感じますが、ここから経費が惹かれます。
光熱費として、「薪」の燃料代や人件費が引かれます。
売り上げの半分は経費で無くなります。
粗利で700万円くらいと言うことです。
365日営業しても700万円。
高いのか安いのか・・・
こうして銭湯は厳しいビジネス・・・と思いきや、つぶれない。
それは何故なのか。
銭湯は既得権の塊
「公衆浴場」は、「一般公衆浴場」と「その他の公衆浴場」があります。
「一般公衆浴場」は昔ながらの「銭湯」です。
「その他の公衆浴場」は、最近のスーパー銭湯などのことを言います。
健康ランド、サウナもここに含まれます。
スーパー銭湯などは、法律での制限を受けないので、入湯料などは自由に設定できます。
銭湯の方は、公営なのです。
入湯料を法律に縛られている代わりに、「助成金」が出ます。
しかも、水道料が無料。
さらに、施設と土地の固定資産税は2/3免除されるので、1/3しか支払わなくて良いのです。
「助成金」がどのくらいなのか、なかなか入手しにくい情報なのですが、東京を例に調べてみました。
平成13年度で、予算として約1億9,800万円が支出されています。
東京都世田谷区内銭湯1軒当たり年間で約566万円となりました。
東京だと少し高めなので、全国平均だと約550万円くらいと考えられます。
この助成金は、施設のメンテや人件費、光熱費、減価償却費など使える用途は広い。
助成金がなくなったら、ほとんどの銭湯が倒産すると言われています。
新しく銭湯を作っても、この助成金は支給されず、厳しい経営を強いられます。
そこで、新しい銭湯は、スーパー銭湯のように収益率が高い物を作るのです。
700万円だった粗利は、助成金550万円を加えて、1250万円に!
業界の人は潤っていると言うのは本当のようです。
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